長崎のABC不動産のホンダです。
今日は本を紹介します。
「選択の科学」
著者:シーナ・アイエンガー
評価:★★★★☆
ニューヨークのコロンビア大学ビジネススクールの教授による、
「選択」をテーマとした研究結果がまとめられた本です。
「選択」という限られたテーマだけで、
300ページ以上のボリュームで綴られていますので、
とても濃厚です。この内容で1700円は安い!
読後の充実感は、3000円くらいの本と変わりません。
内容は、選択肢がある場合とない場合、
選択肢が多い場合と少ない場合、
人間や動物はどうなるか、
どういう心理状態になるか、
それを検証するための様々な実験結果などが紹介されています。
動物園の動物は、身の安全や食糧が約束されているが・・・
監禁生活によって選択の余地がなく、野生動物よりも平均寿命が短い。
社長は、経営の重圧を抱えているが・・・
決裁権を持っているので長生きする。
このように、選択ができることが心身に及ぼす影響は大きい。
また、選択を取り上げると反発を招くこともある。
では、選択肢は多いほど良いのか?
このおもちゃで遊びなさいと指定された子供と、
100種類ものおもちゃで自由に遊んで良いと言われた子供。
さて、時間が足りないほど夢中で遊んだ子供はどっちか。
答えは、前者らしいです。選択はできてないんですけどね。
後者は選択できても、選択肢が多過ぎて、
それがストレスになるんですね。
ビジネスにおいても、
例えば、ジャム販売実験では、
ジャムの品揃えが豊富なときより、品揃えが少ないときの方が、
お客が実際にジャムを買う確率は高かったそうです。
選択は、ときに相当な負担を伴います。
たとえば、
早産で脳内出血を起こして危篤状態にある生まれたての我が子。
延命治療を続けるか、否かの選択をしなければなりません。
以下の選択プロセスによる心労の度合いは、
まったく違う結果になるようです。
①親に情報を開示せず、医師の独断で延命治療を中止した。
②死亡確率や生存したとしても後遺症の可能性など、
情報を開示した上で、医師の判断で中止した。
③情報を開示した上で、親が自分の判断で中止した。
普通、①より②、②より③が好ましいと思うと思います。
自分の判断で選択できるからです。
でも、その判断を下した後の心の負担は、
実際には③が最も過酷なんだそうです。
選択は他人が行うほうが良い場合もあるんですね。
他にもおもしろい実験結果がありました。
目の前のマシュマロを私が戻ってくるまで食べずにガマンできたら、
もう一つマシュマロをあげると言って、
子供をひとりにする自制心実験。
食べるか、食べないかは自分で選択できる。
結果は、30%の子供だけがガマンできたそうです。
おもしろいのは、その子供たちのその後です。
実験から10年以上経ってから行われた追跡調査では、
ガマンできた子供たちは、強い友情を持ち、
困難な状況に対する適応力が高く、
大学進学適性試験のスコアも高かった。
さらに成人後の社会的地位もガマンできなかった子供より高かったそうです。
なんか、分かるなぁ。
ちなみに、この子供たちは、
次のような工夫をしてガマンしていたそうです。
目の前のマシュマロが見えないように手で顔を覆う。
マシュマロのことを考えないように、おもちゃで遊んでいるところを想像する。
マシュマロをお菓子ではなく、雲だと思い込む。
子供らしい工夫ですが、
「わかっちゃいるけどやめられない」という、
自制心のない大人もこのような工夫が必要だと思います(笑)
とても勉強になりました。おもしろかったです。
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