長崎のABC不動産のホンダです。
今日は本を紹介します。
「百年法 上・下」
著者:山田宗樹
満足度:★★★★☆
原爆を落とされ敗戦した日本は、
アメリカの不老不死技術「HAVI」を導入。
これを受けたものは、その時点の肉体のまま、
永遠に生き続けることができます。
しかし、不老不死の人間が永遠に増え続けるというのは、
様々な問題を抱えます。人口爆発とか。
これを防ぐために、
定められた法律の名前が「百年法」です。
HAVIを受けた者は、
100年後に死ななければならないという法律。
これに従わない者は「拒否者」と呼ばれ、
警察に追われるようになります。
つかまったら、強制的に「処理」されてしまいます。
HAVIを受けるも受けないも本人の自由とされていますが、
100年後という現実味のなさから、
ほとんどの人が処置を受けています。
確かに、こういうのがあれば、私も受けるかもしれません。
ただし、たとえば20歳のときに処置を受けたら、
肉体はずっと20歳のままなので、
たとえ120歳であっても死ぬのは怖いかもしれません。
人間は肉体的に年を取りながら、
徐々に死を感じていくものだと思うからです。
ピンピンに元気だったら、
そんな覚悟はできないものと。
実年齢に関係なく、
見た目はすべての人が若いという世界は、
映画「TIME」を観たので、そのまま想像できました。
大統領だろうと、総理大臣だろうと、
政治家も警察官もみんな若々しい人々。
威厳を出すためにわざと処置を受けるタイミングを遅らせ、
顔に渋みを残す政治家もいるようです。
このへん、ちょっとリアル感があります。
読む前は、100年後の強制死の直前に、
人々のいろんなドラマがあるような、
そんな感動巨編だと思っていました。
そういうのがないこともないのですが、
ちょっと違っていました。
どちらかといえば、スリリングな話。
国の行く末を想う敏腕政治家、
百年法に反発して生き長らえようとする地下組織、
HAVIや百年法に異議を感じる若きリーダー、
自己の欲望に走る腐敗した官僚たち。
様々な登場人物たちが交差しながら、
百年法の意義が問われていきます。
なかなかのボリュームにも関わらず、
あっという間に読み終えてしまうほど、
おもしろいストーリーになっています。
著者は、映画化された「嫌われ松子の一生」で
有名な山田宗樹さんです。
オススメです。
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