長崎のABC不動産のホンダです。
今日も本を紹介します。
「遥かなる水の音」
著者:村山由佳
評価★★★★☆
女性作家の本を読むのは、本当に久しぶりで、
この本の著者、村山由佳さんの本は初めて読みました。
内容は大まかには、
大人版、男女混合版、多国籍版の「スタンドバイミー」といった感じです。
「スタンドバイミー」は友情をテーマにしていますが、
こちらは、愛をテーマにしています。
菓子職人でフランス在住の日本人、周(アマネ)が病死します。
周は死ぬ間際、自分が死んだら、
その遺灰をサハラ砂漠に撒いてほしいという遺言を残します。
そこで、サハラを目指して、周の姉・久遠緋沙子、
同居していたゲイのジャン=クロード、
元同級生の奥村浩介と早川結衣の4人の旅が始まります。
一行の旅は、フランスからサハラに直行するのではなく、
周が生前、サハラを旅した時のルートを通って行きます。
この小説の特徴は、
途中、モロッコで合流する現地案内人サイード・アリを含む、
5人の登場人物の一人称(その人の目線で、その人が語り手となる)で
構成されているところです。
例えば、あるシーンは姉の久遠緋沙子の語りによって物語が進んで、
その後すぐゲイのジャン=クロードの語りに変わったりするので、
その直前の久遠緋沙子の語りで進んでいたシーンのとき、
ジャン=クロードがどう思っていたかなどを自身が重複して語ったりするので、
それぞれの登場人物の思惑が行き交いながらストーリーが進んでいき、
読み手としては、視点がコロコロ入れ替わってとても面白いです。
そのあたり、私が好きな24(トゥエンティーフォー)と少し似た感じがしました。
また、元同級生の奥村浩介と早川結衣が
日本で共同経営の雑貨店を営んでいるという設定上、
物語の中で雑貨がよく出てきます。
個人的に、雑貨が好きなので、そういうところも読んでいて楽しめました。
女性の方なら、モロッコの料理などもよく出てくるので、
それも楽しめるのではないかと。
全体的には、感動して涙する物語ではありません。
(それでもラストはホロっときますけど)
遺骨を持って(ジャン=クロードは「周を連れて」と表現しています)、
特に親しい間柄ではないメンバーで旅しているので、
楽しい旅の物語でもありません。
それでも、旅の臨場感が伝わってきたりして、とてもおもしろかったです。
私も実際、モロッコへ行きたくなりました。
それと、モロッコのタンジェという街のカフェにいた
老人の言葉が心に残りました。
「何かを強く願うとき、ただ『望む』のでは不充分だ。『信じる』のでなければね」
Hopeではなく、Believe。
そういえば、何かを願う時、あまりBelieveを使わないです。
これからは、「信じる」を使おうと思います。
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